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剣山スーパー林道ツーリング
〜開山まで1週間前なのに、友人のもっさんとDT、CBXで行く無謀な究極のアドベンチャーツーリング〜
 2003年3月26日、友人のもっさんに、久々の休みにツーリングにでも行こうと誘われた。だが行き先は曖昧で高知県にでも行きながら、それから向かう場所を決めればいいなどと、またまた無計画で無謀な旅の始まりを予感させるシチュエーションに見舞われた。バイクは実用性重視125cc派の我々である。いつものゲタで出発だ。
 高知県南国市に入り道の駅で休憩し、そこから195号線を通り徳島方面に向かうことになった。というのもこの時点で12時を回っており、私の下宿先で一夜を明かすことにしたからである。ここで自分が丁度195号線沿いに剣山スーパー林道に入る所があるから、林道を通って徳島に向かうか?」などと冗談を言っているともっさんが話に乗ってきて本当に行くことに決定してしまった。おい本気かぁ?もっさんはCBX125たぞ。自分のバイクはDT125R、バリバリ林道を走るバイクなので問題はないのだがもっさんのバイクはバブル期に登場したホンダのCBX125。オンロードを攻めるために造られたようなカフェレーサーである。私は一応止めたがもっさんは車輪が付いていれば何とかなる」と言うが何を根拠に。私が「パンクしたらどうする?」と尋ねると、もっさん曰くそん時はそん時」。もっさんの楽天家は今に始まったことではないし、今までも無事何とかなってきたので、妙な安心感はあった。まあXJR400で走破した友人もいるのでさほど心配はしなかったのだが…。どっこいこれが、今までの集大成というべきか無謀で究極のツーリングになることとなった。こんな無茶苦茶な旅は原付時代以来だろうな。

 さあ、行き当たりばったり出たとこ勝負の成り行き任せの旅の始まりだ!
出たとこ勝負成り行き任せの旅の始まり始まり

林道の入り口付近にて もっさんとCBX125 
 ↑これがスーパー林道の入り口付近である。今回は195号線から入り、徳島へ出る。今までとは逆のルートで辿ることになる。こちらから走破するのは初めてである。しかも午後3時を回っている。この時間から山に入ること自体無謀である。
 写真はもっさんとCBX125である。どう見ても林道を走るバイクではないことは誰でもお分かりだろう。
 
数km進むと工事が… それでも我々は
 ↑林道入り口にも、数km付近で工事中で全面行き止まり」という看板があったにもかかわらず、我々は突き進む。普通ならここで引き返すよねぇ。「バイクなら通れるのではないだろうか」という微かな希望を持ち、行けるところまで行くというのが我々の信念である。工事現場のおっちゃん達は気さくな方が多く、バイクなら通れるよと重機を軽く寄せて通らせてくれることが多い。ダメもとで通れるか聞いてみると軽く重機を脇に寄せて通らせてくれた。軽くお礼を言って突き進む。
 写真の工事現場には誰もいなくて路肩が崩れていた。下手をすれば崖下に転落しかねない。ここまでか…と思うやもっさんは無理矢理道を整えてさらに突き進む。もっさんは一度行くと決めたら、物理的に不可能でない限り進むので私も負けずに突き進む。ここでは助け合いが必要だった。一人は大型の落石を退けたりバイクを押したりサポートし合う。

難関を突破 もっさん思わずガッツポーズ
 ↑路肩が崩れた難関も二人で協力し合えばなんのその。ここで記念撮影。ところがすぐ先に…

大型の溝を脱出
 ↑大型の溝が出来ていて通過に一苦労した。一人は後ろからバイクを押してサポート。特にもっさんのCBXは重いしタイヤがつるっつるなのでなかなか進まない。ガツン、バキバキと低車高のCBXは底を打ちまくる。

 溝を脱出し林道頂上の山の家に向かう。その間の林道は比較的フラットであるが、CBXはリヤサスが壊れているため、後ろがポンポン跳ねまくる。時折宙を舞うこともあった。これで時速50kmくらいで走るのだからもっさんはスゴイ。オフローダー顔負けである。
 
剣山トンネルの前でちょっと楽しむ 雪上モトクロスごっこ


うーん?トンネルの中が何か変だぞ!
 ↑トンネルを抜けると山の家があり、そこにはトイレなどもある。トンネルの入り口付近には雪が降り積もっていたので、思わずDT125でアタック。見事にスタック。タイヤを地面に取られ脱出不能に。仕方なく降りて押し出す。先が長いので、はよー出発するかとエンジンに火を入れるとトンネル内に突進!うーん?なんだあれは?

 トンネルの奥に目をやると何か妙な感じだぞ。普通出口が入り口と同じ形に見えるのだが…何か置いてあるのかな。工事用の重機かそれともトンネル内でビバーグするライダー達か?おおっと、どっこい! なんでぇこれは!!
 
ものすごい光景に我々は開いた口が塞がらなかった。
 ↑トンネルの入り口付近に差し掛かったとき、やたら地面が輝いていた。もしや凍っているのかと思いつつ進むやいなや、トンネルの中は別世界だった。トンネル内いたるところに氷の塊が、まるでとけた蝋のように広がっている。どこだここ? 北極?

 何と言うか、姫神の曲が流れそうなシチュエーションである。

 トンネル内の他の大きい写真はこれ→Shot1 Shot2 Shot3

こんな光景は滅多に見られない ということで記念撮影
 ↑初めて見る光景に我々は感動し、さまざまな角度から写真を撮りまくる。写真のように、まるでツララが地面から伸びているような氷の柱のことを「氷筍」という。トンネルの中の氷には、鋭く尖った部分も多く存在し下手に転ぶと大怪我をするので注意が必要である。

 四国地方ではこんな光景はなかなか見られない。気象・場所・時間の全ての条件を満たさないと無理だ。

強行突破を試みるもっさん
 ↑このトンネルを抜けなければ林道を抜けることはできない。こちらからの迂回路は皆無である。感動が現実問題にかわりようやく危機感をもち始めた我々である。
 もっさんはCBX125で強行突破と試みたが、人が立っているだけで精一杯な氷の上であり、当然不可能であった。今回はロープや食べ物すら準備していなかったので、この先を進むのはあまりにも無謀であり、死にに行くようなものである。上の写真のもっさんが立っている所が一番高い所であり、それより向こうは急勾配になっており、人の足でもロープで引っ張ってもらわないと戻ってくることはできないという状態になっている。一度進むと戻れない蟻地獄のような感じである。

 仕方ないので来た道を戻ることになった。来た道を戻るなどということは我々にあってはならないことである。もっさんは悔しさのあまり壁の氷を砕きまわるが氷筍はびくりともしない。

 とりあえず林道には迂回路がないということは知っていたので195号線まで原点復帰した。この時点で5時を回っていた。スーパー林道に入る道は他にもあったが、もうそんな気力はなかったし、日暮れの林道走破はあまりにも危険である。195号線で徳島に向かった。っとここで下宿先の鍵を忘れたことに気づいた。どうするよ、一体。弱り目に祟り目とはこのことだ。
 
旅のひととき 寒い時期はやっぱり温泉
 ↑195号線を突き進み、日が傾き急に気温が下がり始めた。もっさんが何処かの道の駅で休憩しようと言い出したので、道の駅のもみじ川温泉というスパがあったので思わず立ち寄った。もっさんはやたら疲労が見えている。彼は夜のコンビニでのバイトの直後、寝ることなく直ぐに私のところに来たという。林道を出た辺りで24時間起きていることになる。早く言ってくれよもっさん。私の家から出発したのでもっさんは余分に50km多く入っている。ましてその上に、オンロードバイクで林道アタックである。疲れても無理はない。
 もみじ川温泉は入浴料が500円である。営業時間11時〜21時30分まで、第三火曜日が定休日である。今回はタオルの持ち合わせすらなかったので100円で買うことになった。効能書きもあったが、疲れている我々の目に入ることはなかった。私の感覚では、入浴料金は普通300円〜400円くらいで、若干高いとも感じたがそんなことを言っている余裕はなかった。

 いやあー癒されるねえ。やっぱ旅には温泉を計画に入れたいものである。もっさんはこれほど風呂がありがたいと感じたことはないと語った。もっさんのこのセリフは、今回の旅のハードさを物語っている。

 風呂に入るとぽかぽかして眠気が襲う。これで無事に徳島に入ることが出来るのだろうかとという思いが脳裏をかすめた。
もっさん 事故る
 阿南市に入り、55号バイパスを突き進み徳島方面に向かう。そんな道の途中、信号が黄色に変わった。さあどうする。このスピードならギリギリセーフか?いやこのまま進むと後ろのもっさんが確実に信号に引っかかる。じゃあ止まるしかないかと停止ラインで停止していると、ガツンと凄い衝撃が!考える暇もなく私はバイクごと立ちこける。何かが当たったと感じつつも前を見れば、もっさんがCBXごと吹っ飛んでいく瞬間が目に入った。しかも丁度交差点の真中で。CBXは火花を上げてくるくる回りながら、カーリングのストーンよろしく滑っていった。回転するCBXのライトはまるでミラーボールのようだ。うおおおおおおおおおおおおおおーもっさーーーん!。大丈夫か!!周りのギャラリーもあまりの光景に一瞬沈黙した。信号待ちしていて前進しようとしたドライバーも停止し、救助に駆けつけようとしたのだが、当のもっさんは、見れば既に立ち上がって、CBXを起こし何事も無かったかのように道の脇に寄せていた。もっさんが無事であるとわかると、交通も何事もなかったかのように流れ始めた。自分もバイクを起こし歩道の方に押し寄せて、もっさんに駆け寄る。もっさんは擦り傷だけという。全く信じ難い強運だ。まあ無事でよかった。CBXはハンドルが少しまがり、ブレーキレバーが激しく変形していた。自分のDT125もウインカーが少し曲がり、ハンドルとフォークが少しねじれていた。またブレーキレバーが折れてしまったが操作は1本がけしているので問題無く使用できた。直ぐに応急処置を施し何とか運転できるようにした。車載工具しかなかったので最低限のことしかできなかった。工具を持つ手が今のショックで震える。

 しかし今度で何回目なんだもっさん。何度もやっているのに一度も骨を折るような怪我をしないもっさんは何物!?

 とりあえず下宿に戻り、10時前だったので寝ている可能性があったが、大家さんに合鍵を借りることができた。一息入れて吉野家に夕食を食べに行く予定だったが、さっきの事故で食欲がなくなり、あり合わせの冷凍のおにぎりで済ましてさっさと寝ることにした。疲れていたのですぐに爆睡した。
次の日
 朝は5時に起床し、バイクの修理にあたった。軽く調整すれば大丈夫だ。通勤ラッシュで混む前に徳島から脱出するために6時には出発した。あとは帰るだけである。
 
コインスナックで朝食
 ↑帰り際のコインスナックで朝食を取った。珍しい自動販売機がそろう。中でもカレーの販売機が目に止まった。しかも300円で安いし、試してみる価値はあると思ったが朝から食が進むはずも無くフライドポテトにした。もっさんは焼そば(!!)にした。
もっさんガス欠 もう知らんよ・・・・(笑)

池田の山の中にて
 ↑もっさんはCBX125は燃費が良く、タンクも容量があるということで一回も給油しなかった。それが祟って池田に入ってから、給油所がないところでガス欠になった。もーう、もっさん!いいかげんにしろ!と言いつつも自分は笑いながらDT125のタンクを外し次のスタンドまでもつ量のガソリンを提供した。けどタンクに燃料が残っているかどうかくらいは事前に調べとくべきだろう。ツーリング中にタンクを外すなんてことは今回が始めてである。
まとめ
 今回のツーリングは今までに増して最もムツコイものとなった。なにせツーリングに付きまとう事柄全てを体験した。長距離ラーン・林道アドベンチャー・自然の脅威・事故など挙げるときりが無い。雨に遭わなかったのもさらに良かった。こーげん君と行くと雨が降ることが多いのになあ。

 今回は学ぶべきことと新たな発見が多すぎた旅であった。無計画過ぎるとこんな目にあう。山に行くなら最低限の食料や道具を持っていくべきである。また無計画で多少無理をすれば今回のような大自然の脅威に出会うこともできる。それにしてもトンネル内の氷筍は感激したなあ。それと腕さえあればオンロードバイクでも余裕で林道走破が出来るということも今回のことで証明された。

 さあ次は何処へ行こうかな。旅のお供にもっさんは必須、もう欠かせない人物だろう。

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