XR100モタード エンジンオーバーホール

5500km エンジンから異音発生
2005年7月23日梅雨も明け、さあ!これからという時にエンジンから妙な音が出始めた。低回転においてカランゴロンと金属が叩き合うような感じの音が出始めた。

 最初はボアアップキットの破損かと思っていた。これはエイプにも使っていたので、使用開始から1万キロを突入している。以前にもクラックを確認してある。

とりあえず腰上をばらずことに。

 
擦り傷が多く見られた
 シリンダーとピストンが擦った痕が見られた。また手で触って分かるくらいの段付き磨耗も見られた。傷は進行方向に多く見られた。しかし今回の原因とはあまり関係はなかった。


腰下の方はクランク妙にがたがあった。
 以前DTのクランクを手で回した時は殆どがたは感じられなかった。今回のXRのエンジンでは妙にヨコ方向のがたが大きく感じられたのだが、ショップのマスターに聞くとこんなもんらしい。

 もしボアアップキットが原因で異音がしているとすれば、ノーマルのシリンダー(99cc)においては正常になるはずである。そこでノーマルのシリンダーを組み込んで実験してみた。しかしながら結果は同じ。排気量が下がったので全体的な音は小さくなったが、やっぱり低回転において金属を叩く音?が聞こえる。
 よってシリンダーやピストンの問題ではなさそう。腰下かヘッドのどちらかが原因であろう。そんなわけでショップに緊急入院ということになった。今回は初期不良ということになる。本当は自分で全て修理してみたい気はあったのだが、ホンダの新車は2年保証が付いているので、無償で修理してもられる。今回は全てショップにお任せすることにした。ただしボアアップキットなど後付けのオプションパーツは無償修理対象外となる。

 ボアアップキットの恩恵はものすごいものがあった。これは久々にノーマルシリンダーに戻してみて改めて思い知った。とにかく加速が凄い。2STのような加速を見せる。これは11.5の高い圧縮比が効いているものと思われる。

 正直今のボアアップキットのシリンダーもピストンも限界に近い。新規にキットを購入するか、キットの補修パーツで揃えるか果してどうするべきか?いっそのことノーマルシリンダーで頑張るか? ちなみに115ccシリンダー16800円とピストンキット15540円・ガスケットキット1890円・・・とまるまるキットが買えてしまう。他のメーカーにする手もあったが、候補だったデイトナのキットは2万円台と武川と比べ約半額であり購入を考えたのだが、オイルクーラーの取り出し口がノーマルマフラーと干渉するらしくノーマルマフラーの形状と同じレーサーマフラを付けているのでちょいと無理。ノーマルシリンダーに戻すのは、一度115ccに慣れてしまったら無理な話(爆)。

 今のキットを何とか修復してみた。

#240ペーパー・ピカールでシコシコと修正 シリンダ


#240ペーパー・ピカールでシコシコと修正 ピストン
 ちなみにノーマルのシリンダーには、オーバーサイズのピストンが二種類用意されている。(0.25と0.5オーバーサイズ)ノーマルシリンダーであればボーリング加工するという手が残されているというわけなんだ。


 ピストンやシリンダーは使用限界がきているものの、何とか修復成功。ペーパーでならしたのでピストンリングとの当たりは大丈夫そう。正直ボアアップキットを新規に揃えるにはちょいとキツイので、ピストンリングのみを新調することにした。このボアアップキットのリングの代えは3600円くらい。
 既にシリンダー内面に見られるクロス状のホーニング仕上げ面は殆どなくなっているので、オイルの保湿性能が落ちることは仕方がない。本当の使用限界はオイル上がりが発生し始めた時。その時は2STのように青白い煙が出始めたり、粘質のカーボンが排気口に付着したりするので判断できる。

一週間後 ショップにて


腰下
 ショップに入院して一週間後、原因も究明され分解⇒組み立てられた腰下。
 一応怪しい部位は全て交換してくれたので安心した(^^)。主な交換部位は以下のとおり。
メインクランクAssy
   13000-GEY-000クランクシャフトCOMP 24600円(エイプ用パーツカタログ参照)
各ベアリング類4個
   約2130円(エイプ用パーツカタログ参照)
クラッチハウジング
   22100-436-000アウターCOMP 11600円(エイプ用パーツカタログ参照)
各オイルシール・ガスケット類
   N/A
スクリュー類
             N/A

中でも特にクサイと思われるパーツはコレ

 
ミッション部のBRG
 このベアリング(BRG)はミッションギヤのカウンタシャフトを支えるBRGである。このBRGだけは手で回して妙なガタツキと回転不良があった。これは他のBRGと比べても歴然だった。クランクケース内は空間があり、ちょっとしたガタツキ音でも反響して増幅され、さらにプラスチックなどの外装にも伝わってくるということだという(原因としてはあくまで推測)。
 クランクケース内のバリか他の異物がBRGに噛み込んで破損したのか、初めから不良品のBRGだったのかは分からないとのこと。これらのBRGは常にオイル(4STオイル)に浸っているので、いかに早めのオイル交換が大切かがうかがい知れる。



 シャフトが入る溝のガタも原因として捨てきれないことから、ハウジングも交換。切欠き部に多少ではあるがクラッチ板の痕が付いている。


 メインのクランクシャフトはAssyで交換。サイドのBRGやタイミング・カムスプロケは圧入されているので、基本的には分解不可能。BRGの圧入やタイミングカムスプロケットの圧入は他の業者が行っているらしい。


 BRG類も念のため全て交換。内一つに明らかな不良があった。

 クランクケースを割る場合の注意点



 オイルポンプの皿ネジは破損しやすいので、必ず予備を用意しておく。ハンマーでしばくインパクトドライバーは最低限必要とのこと。


 カムチェーンはACジェネレーターを外せば、クランクケースを割ることなく交換することができるらしい。シャフトが出ている部分から挿入する。
 自分はカムチェーンにはジョイントリンクがあり、シリンダーを外して針金なんかでスプロケットにかければ交換できるものだと信じていた。が、今のカムチェンはエンドレス式でジョイントリンクなんか無いらしい。

 さらに言えば、ACジャネレータを外さなくては、クランクケースを割ることはできない。これには特殊工具のプーラーやUホルダが必要になる。


 もしBRGが原因であれば退院は来週予定。 今回の原因はほぼBRGに確信。115ccシリンダーやピストンの傷は、使用限界によるものだと思われる。それにスリーブが薄い上に、ピストンのスカートも純正に比べて短いので首振りを起こしやすい。まあ115ccシリンダ類は、白煙が出るころに交換しようと思う(^^;。

 今回のことは腰下を理解する上で非常に役に立つ出来事だったと思う。腰下分解も何時か自分で挑戦してみたいところやな。



2005年08月07日追加
 昨日無事退院できたXR100モタードである。異音の原因はほぼBRGの不良と特定。修理後は驚くほど静かになった。

 
修理前と後のオーディオ波形(左:修理前 右:修理後)
 一応同じ条件(録音位置・レベルなど)で収録後アナライズしているが、厳密には正確ではない。見方は縦軸が周波数、横軸は時間である。声紋分析などに使用される方式を取り入れてみた。まず簡単に言えば明るい色(黄色)になるほどその時間・周波数において音のレベルが高いことを表してる。また黒色は全く音が無いことを表している。録音にはIRIVERのIFP390を使用。MP3形式になるので圧縮が加わるため、実際(ノン圧縮のリニアPCM)の波形とは少々異なるものの、前後の比較は可能である。(IFP390は内蔵マイクでのボイスレコーディングでも最大17000Hzくらいまで伸びているのには少々驚いた(^^)
 2000〜4000Hzくらいに、修理前と後との音の変化が顕著に見られる。
ちなみに所々に見られる高い周波数まで伸びている所は、エンジンを吹かした時である。


 後ピストンリングの交換により、低速トルクがかなり改善されたことにも驚いた。2STならともかく4STでもよく高回転で回す場合は、1万kmくらいで交換した方がよいかもしれない。


 まあとにかく直ってよかったですわ(^^) 中川様修理ご苦労様でした。

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