| DT50シリンダー分解 エンジンが急停止した理由を探る |
| 2003年5月17日、以前ゲリラ整備するハメになったDT50を、本格的にシリンダーを開けて、原因究明してみることになった。 |
![]() シリンダー周りのガスケットセット |
| ↑ショップで取り寄せてもらった、DT50ボアアップ(60cc)用ガスケットセットで1550円だ。主要なシリンダーヘッドガスケットは紙製で、あまり耐久性が良いとは言えないが、ボアアップしているので、純正のものは使用できない。 他にホルツの液体ガスケットも用意した。以前はシリコンのコーキング材を使用したが、正確には液体ガスケットを使うべきである。と言うことで用意してみた。値段は1000円前後である。 |
←燃料タンクや、チャンバーを外す2ストの場合、シリンダーを開けるのは然程大変な作業ではない。それよりも周辺のパーツを外すので時間がかかるのだ。 ←クーラントを抜き、各種ホースを外すエンジンは車体から下ろさなくても作業できる。ホースなどを外したら、シリンダーヘッドのナットを対角線を描くような順番で、数回に分けて緩めていく。一気に緩めてはならない。 |
| シリンダー |
←取り外したシリンダー部コーキングしてあるので、ヘッドとシリンダーがくっついた状態で外れる。マイナスドライバーなどでこじってやれば、分離できる。ヘッドはアルミなので傷つけないように注意が必要。 ←開けた状態のヘッド・シリンダー・ガスケット以前にシリコンでコーキングしたが、綺麗に剥がすことができた。それよりむしろガスケットの紙の成分が、ヘッドやシリンダーにこびり付いて大変だった。ガソリンやヘキサンを使って、ブラシやヘラで丹念に落とす。 ←必ずウエスをクランクケースに被せておくピストンを外す前に、必ずクランクケースにウエスを被せておく。ピストンを外す時、サークリップを抜かなくてはならないが、それが誤ってクランク部に落ちると、クランクケースを割る必要がある。1日の作業では終わらなくなるぞ! |
| 衝撃!ピストンとシリンダーがボロボロ |
![]() ピストン側面 シリンダー壁面 |
| ↑ピストンを見てビックリ!側面に溝ができている。それに何かが砕けて固着している。リングも固着しており、圧縮モレが起こっていたのだ。 シリンダーもポート付近が傷付いて、溝が彫れ込んでいる。ピストンが首振りを起こした時、こんな現象が起こる。 |
![]() サークリップがはまるピストンの溝がねじれ広がっている |
↑ピストンのピストンピンが抜けるのを防止する、サークリップは、ピストンにうまくホールドするように溝が彫られているのだが、それがねじ切られている。恐らくこの時サークリップが外れて、シリンダー内の掃気ポートに接触し、砕けたものと思われる。クリップの一つは何故か見つからなかった。何とも恐ろしい。焼きつく一歩手前の危機だった。![]() ↑そのクリップの一部とも思える物体が、ピストンのトップ面に焼き固まっていた。周辺もピンの形状をした、クレータができていたので間違いない。 |
| エンジントラブルの原因解明 |
| エンジンが停止し、往生したことがあったが、その原因はクリップが外れて、ピストンやシリンダーを破損させたのが原因だ。以前排気が妙に湿っぽいと言ったが、これは圧縮モレによって、燃料がそのまま排気されたためだと思われる。その圧縮モレによって、トルクは減少し、坂道になると精々30km/h出すのが精一杯。また燃費は普段の2倍近く消費していた。 クリップが外れた原因は、オーバーレブが日常茶飯事だったことだろう。つまり回しすぎである。ピストン運動が不安定になり、コンロッドとピストンをつなぐピストンピンが暴れ、クリップをシリンダー内に押し出してしまった。それに気付かない自分はスロットル全開のままだったものだからDTのエンジンは無理矢理圧縮爆発を繰り返し、その結果がコレだ。この状態で平地で60km/hは出ていたのだから、信じ難いと言えば信じ難い。 |
| さて、どうするか… |
| このまま使用するのはあまりにも危険であり、焼く付く恐れもある。とは言うものの、代えのピストンやリングも無い。注文しても2週間はかかるだろう。明日は日曜日で、月曜には学校があるので帰らなければならない。到底1日で部品を入手できるはずがない。 シリンダーも傷が酷いので、ピストンやリングを交換しただけでは無理だろう。ホーニングするといってもいくらかかるか分からないし、傷もかなり深いので、スリーブがもつかどうか怪しい。それに専用のフライス盤がある専門店でないと無理だ。 かなり悩んだ末、ボアアップする前のノーマルシリンダーが手元に置いてあることを思い出した。ピストンやリングも揃っている。きちんと注油して保存しておいたのが幸いし、錆びもなくそのまま使えそうである。ただ純正のシリンダーヘッドガスケットが無かった。今回のものは60ccボアアップ用だ。試しに被せてみると使えそうである。多少圧縮比に影響が出そうだが、もうコレしか方法が無かった。 |
←50ccのシリンダを使ってみる幸い50cc時の純正シリンダーが良いコンディションで保存してあったので、これに換えてみる。30000kmくらいで60ccシリンダーに換えたので、まだまだ使用できるはずである。 ←60ccのガスケットでも何とか使えそうだ60cc用のガスケットは、若干径が大きいが、何とか使用できる。圧縮比に影響が出そうだが、然程問題にはならないはずである。 ←ピストンを上死点にすると組み付け作業が楽ピストン周囲にオイルを塗布してから行う。純正のピストンはリングが2個付いているので、吹き抜けが少なく安定している。 ←オイルをキチンと塗布するシリンダー内周辺もオイルを塗布する。オイルは普段使用している2ストオイルでよい。 ←水漏れ防止にコーキングする今回はホルツの液体ガスケットを使用してみた。色は茶色で5分くらいで粘性が出てくる。常温5時間程で凝固するが、ゴム状になる。150℃まで耐えられる。 ←ガスケット側も然りガスケット側も両面に、ウオータージャケット側を塗布する。この後ヘッドを被せて、元どおりに組み上げる。5時間程待ってからクーラントを注ぎ、エンジンをかけてみた。 エンジンをかけると、音から全然違った。きちんと圧縮爆発していて、まるで新車の時のような音である。テスト走行でもしっかり回転がついてくる。ドライブスプロケを13丁にしてあるので、若干加速が落ちる。それでも平地で70km/hくらいまでは余裕で引っ張れた。排気音は60ccと比べると静かである。60ccと違い、トルク感が無いが、60ccシリンダーの状態の悪い時よりも、引っ張ることができた。 コーキングは半分失敗で、水温が上がると若干にじみ出てくる。これならシリコンのコーキング材の方がいいと思う。温度も200℃まで耐えられるし、何より500gで350円と非常に安い。 |