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エイプ100 115ccボアアップ

武川のS-STAGEキットで組む 2004年9月5日 
 エイプ100も購入してもう1年が過ぎた。総走行距離も13000kmを過ぎ、そろそろモノ心もついたので、ここらで一発腰をあげることにしたわけだ。

 ボアアップはDT50の時に行ったくらいである。DTはあくまで2STのエンジンであり、組み付けは非常に簡単であった。当時は何もわからないのでとりあえず、ボアアップしたというような感覚だった。だからボアアップに応じたキャブの設定や、プラグの熱価選定なんかも全く行わず、ベストセッティングが出たのだから運が良かったとしか言いようがない(冷)。
 今回はボアアップに備えて、1段階ごとに準備してきた。まず吸気系統はヘッドのポートとほぼ同じ流路のPD22を選択。排気系統はノーマルマフラーであるが、仕切り板を貫通させているので、それなりに抜ける。
◎今回使用するボアアップキット
 
武川のS-STAGEキット115cc エイプ100用 定価は税込みで39690円だ
 ↑ボアアップキットは各社から出ているが、今回は長年の実績と信頼性のある武川のキットを選択した。前に購入したビックキャブPD22も武川から出ているキットを使用した。ボアは57mm、ストロークは変更なしで115ccになる。純正よりも3mm大きいボアとなる。119ccというキットも他社から出ているが、115ccが一般的なようである。124ccだとストロークアップが必要らしい。レース専用で130ccや150cc化キットもあるようだが、かなり上級クラスである。価格も福沢諭吉が10枚以上必要だろう。150cc化で18PSくらいになるそうだが、ドラムブレーキのままだと、あまりにも危険すぎるだろう。快適なツーリングが目的なので、115ccで十分。
 115ccくらいならツーリングとか街乗りユース程度なら、オイルクーラーがなくても殆ど問題ないと思われる。一応オイルクーラー取り付け用のラインも付いているが付ける予定はない。
 キット内容は、115ccシリンダー・57φピストン・リング・ピストンピン・サークリップ・各ガスケット・カムシャフト・各ステッカー・取説からなる。リペアパーツとして、ガスケットセットが1800円、リングセットが3500円・・・と個々のパーツも用意されているので、買った後も安心だ。

◎予想出力

グラフからは約9000rpm時に12PS近く出るようだ
 箱に表記されたグラフから、最高回転数12000rpmくらいまで回ることがわかる。最高出力は11.8PS(9000rpm時)くらい出るようである(キャブPD22・指定マフラー装着時)。回転数は安全を見込んで10000rpm程度までに抑えておく方が無難だろう。

◎ピストンリングの装着
 
リングは全部で6枚                    ピストンに装着した状態


純正ノピストン(左)と、キットのピストン(右)
↑キットのピストンは、純正の物と比べて短いタイプのショートスカートピストンである。軽量化の実現が可能で、必然的にパワーにも影響を与える。ただ耐久性に対しては、純正のロングスカートのピストンと比べると多少劣る。
 リングはトップリング(左の茶色)・セカンドリング(左のグレー)、そしてオイルリング(右)である。オイルリングはサイドレール(2枚)とエキスパンダーの3枚で働く。これらを取り付ける際の注意は、それぞれ120度の角度で切欠きの位置をずらして装着しなければならない。

◎組み込み作業 エンジンを下ろす
 今回自分は4STのエンジンを開けるのは初めてである。とりあえず、エイプのサービスマニュアルを用意して事前に予習(爆)。またトルクレンチが必要であるが、あえて今回は感覚(テルクレンチ?)で勝負してみる。8〜14のボックスレンチ・メガネレンチ・Tレンチ・ニッパー・ドライバー・隙間ゲージ(0.05)は最低限必要だろう。
 またエンジンをフレームから下ろすことは必須。エンジンを積んだままでの分解は、フレームと干渉して無理なようである。

 
キットを組み込むにはエンジンを下ろす必要がある
 ↑タンク・シート・サイドカバー・・・と外装を外すところから始まる。エンジンを固定しているボルトは4本で、インテーク側に付いている方から外すことをおすすめする。また土間はブチルゴムのシートか毛布などで養生しよう。エンジンを下ろす作業は、できれば二人欲しいことろだ。ナットが固着していたので、外すのに苦労した。丁度雨水がヒットしやすい所だ。組む時は耐熱のオイルなどで錆防止しておくと良いだろう。
 しかしエンジンはマウントなしで、ボルト4本止めされてるだけだ。これじゃ振動が大きいのもうなずける。また簡単に下ろすことができる分、朝起きたらエンジンが無かった・・・などという悲惨なことにもなりかねない。マンションとか集合住宅で、部防備にエイプを置くのは少々不安かな。


下ろしたエンジン
↑持ってみたがそれほど重く感じなかった。感覚的に15kgくらいかな。約1年で13000kmを突破したが、衰えは全く感じない。エンジンの分解は室内で行うことにした。何せガレージでやると、飼い犬の抜け毛が飛んでくるので、エンジンの中に入ると具合がわるいのだ。

◎組み込み作業 エンジン(腰上)分解
 手順がわからなくなりそうならば、デジカメで作業工程を撮りながら進めると安心。また上下・左右対称で、向きを気にしなくてもよいパーツでも、元々付いていた向きで取り付けるようにした方が無難。外す前に軽くマーキングしておくとよいだろう。
↑ヘッドカバーを開けると、カムチャーンやロッカーアームなどが顔を出す。まずカムチェーンテンショナーのアジャスターを外しておく。次にカムスプロケを外す。カムチェーンはクランクケースに落ちても拾えるように、針金などで結んでおくこと。カムとスプロケを固定するボルトを落とさないよう慎重に外す。カムシャフトホルダーのナット4点を緩める。またシリンダーヘッドにも固定してあるボルトがある。これらを外せばヘッドやシリンダーを取り外すことができる。
 
 ↑ヘッドを外すとバルブ周辺・燃焼室はカーボンが溜まっていた。バルブを分解するにはバルブタコなど特殊な工具が必要になるし、少々面倒になる。今回は取り除ける所だけにしておいた。
 
↑シリンダーはカムチェーンテンショナーが付いた状態で外れる。クランクケースに異物が入らないように、コンロッド周辺をウエスを詰めておく。それからピストンの取り外しに着手しよう。


ノーマルシリンダー(左) 115ccシリンダー(右)
↑ノーマルと比べて若干フィーンの表面積が小さい。軽量化には貢献しているのだが、放熱性能の低下が心配である。そのためかオイルクーラーを取り付けるラインが付いている。高出力で回すようなことが多い場合は、装着を検討した方がよいかもしれない。

 ピストンの装着は、あらかじめ片方にサークリップを取り付けてから行う。クリップの切欠きの向きにも注意する。シリンダー内面は無論、ピストンピン、ピストンの内側にも十分にオイルアップすること。


シリンダーの組み付け
 予めチェーンテンショナーを取り付けて、シリンダーを装着する。ピストンのトップリングから順番に押し縮めてやれば無理なく入るので、癇癪を起こして無理やり押し込まないようにしよう。カムチェーンテンショナーは完全に押し込んでからアジャストスクリューを締めること。カムスプロケをカムに取り付ける時に苦労するぞ。

 
TマークとカムスプロケのOマークを合わせる
 ↑4STエンジンで最も重要なのが、TマークとOマークを合わせること。これが合わないとバルブタイミングが合わないので、動かないか壊れる。ジェネレーターに刻印されているTマークをクランクケースの▽に合わせる。この状態でカムスプロケのOマークが頂点に来るようにチェーンをかければよい。カムは山が下側になるようにしておく。


タペットクリヤランスを調整 シクネス(隙間)ゲージが必要
↑タペットクリヤランスは、エイプの場合0.05mmに合わせる。シクネスゲージを入れて抜き挿ししてある程度抵抗がある感じの時がベスト。羊羹を切る時のような感覚である・・・とよく言われる。


ハイ!完成!!
↑ねじの固着・ガスケットの固着などがなければ、3時間くらいでできると思う。初めての場合は時間を気にせずゆっくりやることをお勧めする。エンジン開ける楽しさをじっくりと味わっていただきたい。

 後はエンジンをフレームに組み付ける。




◎始動テスト・キャブセッティング
 組み付け完了後、今までのセッティングでエンジンが始動できるか実験してみる。まずエンジンを始動する前に何度かキックして、オイルを循環させてから行うのがよい。
 エンジンは数回キックして始動した。とりあえず異音は確認できないので、組み付けはOKなようである。ただ始動はしたものの相当濃いようである。プラグもかぶリ気味である。そこでニードルを1段(3/5)下げて、もう一度始動してみた。結果アイドリング・低速域はベストな燃調になった。高速域は前のセッティングのままMJ#105にしてみた。結果トップも良い具合に伸びる。慣らしが必要なためあまり無理はできないが、今回の実験で軽く80km/hは出ている。インテークのセッティングは、ボアアップ前既にビックキャブ化を行い、PD22を使用している。
MJ:#105・パイロット:#38・ニードル位置:3/5・エアスクリュー:1+1/2回転戻し・XR100のダクト着といった感じである。PD22ビックキャブキットには、ボアアップ用に#110のMJも付属してあるが、今の所必要性は感じない。XR100のダクトを装着している分、吸気量が減って燃料が若干濃くなっているのかもしれない。トップまでギンギンにまで回す人は#110の方がよいだろう。

◎使用燃料・プラグ
 ボアアップしたことで圧縮比も大きくなる。そこで燃料はハイオクガソリンを使用しなくてはならないようである。レギュラーガソリンだと、異常燃焼(ノッキング)を起こし、最悪ピストンに穴が開いたりすることがあるそうだ。自分もとりあえず従って、ハイオクを入れることにした。
 プラグもCR8HSA(NGK)に番手変更して様子を見る必要がある。その後焼け具合を見て熱価を上げたり、下げたりすればよい。まあボアアップすることで、プラグの熱価も変更することは避けられないかな。自分はCR8HSA(NGK)ではなく、デンソーのイリジウムプラグIUF24を用意することにした。IUF24はCR8HSA相当の熱価である。

◎慣らし走行
 慣らし走行は説明書によれば、武川は100km〜150kmくらい推奨している。慣らしと言っても新車の時のように、エンジンからスラッジが出ることで、エンジン内を傷めるからという理由よりかは、交換したパーツにオイルを完全に馴染ませる目的や、段々とエンジンにストレスをかけて、ボルトの緩み・液漏れなどが起こらないかとか、実走行において不具合が無いか・・・などを確認することが主な目的だろう。ただし全くスラッジが出ないわけではないので、慣らし後はすぐにオイル交換をしたい。
 慣らしはプラグを買いに行く道中行った。つまりプラグ変更しないままの慣らしである。丁度150kmくらいあるので、終盤くらいで最高速も実験してみた。


変更前の状態 150km程走った後
↑やはりボアアップしたらプラグの変更も必要だ。変更せずに走ったらこのとおり。白くなっている部分が多くなった。少々焼けすぎ。


IUF24に変更後
↑自分はCR8HSA(NGK)ではなく、デンソーのイリジウムプラグIUF24を使用。丁度良い焼け具合かな。

◎インプレッション 注:あくまで感覚上の感想です。
 ツーリングユースで使いやすいように、ドライブスプロケは17丁を選択している。パワーピーク(9000rpm)まで伸びれば115km/hくらい出ることになる。
 
乗り心地・音---振動は若干大きくなったかな?という感じで然程変化は感じられない。またキットに付属していたエキゾーストのパッキンを付けることで、排気音はノーマルよりも静かになった。ボアが大きくなった分キックも抵抗が大きい。
 
低中速---60km/hくらいまでの低速トルクは少しアップしている。出だしは少々ピーキーさが増したような気がする。これはカムの影響が大きいと思われる。ドライブスプロケが16丁なら相当感じられるはずだ。
 
高速---60km/hから上はノーマルと比べると明らかにアップしている。巡航速度は90km/hくらいで、平地なら普通に維持できるようになった。風向きが良ければ100km/h巡航もできるかな。普段実験する上り坂で試した時も80km/hは大丈夫だった。下りでギンギンにまで引っ張ったら110km/hをマークした。ただノーマルのドラムブレーキでは100km/h以上はあまりにも心配。一般公道のツーリングなら80〜100km/hくらい出せるパワーがあれば十分だろう。
 
燃費---以前にも増して良くなった。ツーリング中に過去でも最高の56km/Lを記録。その時は温度も25〜28度・天候は曇りで所々雨・60km/h〜70km/h走行が多く続いた。ノーマル時は45〜50km/hと少々低速域寄りで燃費が良かったので、一番よく使う60km/h〜70km/hで燃費が良くなったのはかなり嬉しい。ほぼフルスロットルだった徳島海部〜高知南国間でも45km/Lを記録した。暖かい時期なら40km/Lはキープするだろう。寒い冬場はどうなるか未だ分からない。暖かい時期に相当気を配って運転すれば60km/Lも可能か!?

まとめ
 定価39640円と少々サイフが傷むこのキット。でもDT50の60ccキットは55000円と中古のスクーターが買えるくらいの価格だった。それと比べるとまだ安いと思うが、DTのボアアップ同様に末永く乗ろうと思わない人にはあまりお勧めできない。
 感想としては、価格の価値は十分あると思う。これでCBX125など125ccと並んでツーリングに出かけられそう。パワーが上がって燃費も良くなる結果となったので、悪い所は今の所見つからない。これはやってよかったと実感できる。かと言ってヘッド交換や武川のステージ2までやろうとは思わない。このS-STAGEキットの115ccは、ツーリングユースにマッチしたパワーになると思う。また組みあがったエンジンが正常に始動した時の感動を身をもって感じられる。
 到底125ccDOHCのCBXには及ぶはずは無いのだが、車高が低く、車重が軽いエイプだとこのボアアップでパワーウエイトレシオ的には互角になったかも。

 組み付け作業時にトルクレンチを使用しなかったが、今のところ不具合は発生していない。特に特殊な工具がなくても作業できた。またオイルは純正の10W-30からBPの10W-40に変えてみた。

 たった15ccのアップでも間違いなくパワーアップできるので、エイプ100にもうちょっとパワーが欲しい人に是非おすすめしたい。


2004年12月
 11月頃から気温が18℃くらいに下がると、エンジンのかかりが悪くなっただけでなく、燃費も良い時に比べ、2割〜3割も悪くなった。遂にはアイドリングも不安定になり、エンストすることもしばしばである。
 当初キャブのセッティング不良か、キャブのつまりが原因かと思って、点検してみたが問題はなかった。似たような現象がもっさんのCBXでも発生しており、同じく点検したものの問題はなかった。共通する点はハイオクガソリンを入れ続けていること。試しにレギュラーガソリンに入れ替えて様子をみてみると、燃費も通常に戻り、アイドリングなんかも正常に戻った。
 つまり原因は
ハイオクガソリンだった。キットの説明書きには必ずハイオクガソリンを使用してください〜と書かれているので従ってきたのだが、あくまで気温の高い夏場や高回転をよく使うようなシチュエーションを見込んでのことだと思う。ハイオクはレギュラーよりも燃えにくいので、圧縮比が高いエンジンや高回転仕様のエンジンなんかにおいて、圧縮熱や自然発火による発火時期のずれ(ノッキング)を抑える効果がある。その燃えにくい燃料を、ただでさえ気化しにくい(燃えにくい)真冬のような低温下で使用すれば、さっき述べたようなトラブルが起こっても仕方ないと今となっては思える。
 これからは夏場はハイオク、ちょっと寒くなってきたらレギュラー・・・と使い分けようと思う。

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